2006年06月13日
子供とテニス 続編3
子供とテニスの続編2の続きです。
やっぱりかなりの長文です。
つたない文章ですがよろしくおねがいします。
そうして、中学生から高校生となる間に、
彼はどんどん成長していったわけです。
私が学生時代を過ごした町には、
市民団体で「スポーツ少年団」という団体があって、
彼がテニスを始めた場所はその「スポーツ少年団」でした。
スポーツ少年団は
市民主導で市内の小中学生にスポーツの楽しさを広めることを目的とした団体です。
しかし、そのスポーツ少年団では3~4人程度の指導員
(と言っても職業コーチではなく保護者)に対して、
約50人ほどの子供たちが球出し形式で練習するものでした。
一般の保護者さんが自分の時間を割いて子供たちにスポーツを広めようとする精神は
大変すばらしいことに間違いありませんが、
子供の数が多すぎて、練習ではただ球出しのボールを順番に打つだけで、個別の指導をする余裕はなく、子供たちが十分にテニスができる環境とは思えませんでした。
もう一つのレッスンは、
かの家族から紹介された、
この少年団出身の
別の中学1年生の女の子2人と
小学校3年生の男の子1人との練習でした。
親御さんからの要望は
「とにかく、ボールをたくさん打たせてあげて欲しい、
そしてできれば、あの彼のように試合で勝てるようにもして欲しい」ということでした。
プレイレベルは、
女の子2人は、
簡単な球出しはフォア、バックともに無難にこなせるが、
2人でつなぐラリーをすると、5往復続くか、続かないかというレベル。
目標は、高校生相手の試合での一勝。
男の子の方は、
最近、フォアを片手で打つようになったばかりで、
ラケットで球出しをすると、ボールが高すぎて上手く裁けない感じでした。
目標は「全小出場」。
まず、最初に困ったのは
どの程度、この子達を運動させて良いかという点です。
女子中学生になったこともなければ、
小学生の時に、テニスをしたこともありません。
最初の彼の時は、
初期は多少の加減があったものの、基本的に自分が行っていた練習と同じものをしていました。
それに完全に彼がついてきてくれたため、全く問題ありませんでした。
とりあえず、加減しながら、様子をみて進めることにしました。
まず、女の子の方は2人でラリー20往復、
男の子の方は、しっかりラケットを振って、狙いを定めて打つことを目標にしました。
彼女らは、私とゆっくりと作ったラリーならば、最初から20往復くらいはラリーができましたが、
2人で打った時には、一本乱れたボールが混じると、そこから崩れてしまうことが原因で、
ラリーが続かないことがわかってきたので、
ボールが乱れたときにボールを拾うフットワークを作る、
乱れないように、同じボールを繰り返し打つ
を目標に練習をしました。
これらは、基礎的なもののため、
繰り返しの練習が不可欠です。
さらにどうも女の子というのは、
一週間運動をしないと、素の状態に戻る、
運動していない女の子と同等のレベルまで運動レベルが戻ってしまう
ようで、次の週を迎える時にはまた一からなんていうのが、当たり前のことのように続いてしまいました。
それで、毎日500回で良いから、縄跳びをするように勧めたところ、すこしづつ上達するようになりました。
そんな練習を続けていたある日、今月末に試合があるから、
そのための練習をして欲しいとのお願いがありました。
一応、試合形式の練習を混ぜましたが、どうにもこれで大丈夫というレベルにはならぬまま、試合になってしまいました。
単純に心配なのと、彼女らがどのような試合をするのか、気になって試合を見に行きましたが、
ただ返すだけの相手にミスの連続になってしまっていて、
やっぱり攻める練習もはじめないとなりません。
しかし、ようやく移動範囲2歩以内でのラリーができるようになったレベルです。
アプローチをきっちり打ってポイントを取るレベルまでは
かなり道のりが遠く、
実際、私との練習ではそのレベルまでは到達することはできませんでした。
その後も、週一回の練習は続けましたが、結局最後には、
どっちかが高校生との試合で一回戦くらいは何とか勝ってくるようにはなりました。しかし、あまり効率的な練習ができたとは思えませんでした。
唯一、はっきり上手くなったと思えたのはサーブです。
片方の子は優しいボールに対しては、
スマッシュは打てるのに、
サーブではトスしたボールをオーバーハンドで上になでるような羽子板サーブを打っていました。
当時、既に身長が160cm以上あったのですが、
どうも羽子板サーブの原因は、
小学校3年生くらいからテニスをはじめ、
「ネットは高い」という思い込みが、上から打ち下ろすサーブを打つことを妨げていたようで、
スライスサーブのりんごの皮むきのイメージを伝えた後に、
ネットを確実に見下ろせるサービスライン付近から、スマッシュと同じ要領で打ち下ろしで打ち、5本連続で入ったら、一歩下がるという練習を始めたところ、たった2週間(サーブの練習時間にしたら1時間程度)でベースラインからきっちりスライスサーブが打てるようになりました。
また、彼女たちが2年生になってしばらくしたころに、改めて(こっそり)「スポーツ少年団」の練習を見に行ったときのことです。
そのころ、3年生が受験勉強のためいなくなったこともあり、スポーツ少年団では彼女らが最上級生です。私との練習では、頼りない部分を見せたり、子供のようにはしゃいでいた彼女らが、もっと小さい子供たちを引っ張って、ランニングの先頭を走っていました。
その走る姿がいつもの二人とは異なりなんだか頼もしく見えました。そうしたリーダーとしての自覚は人をこんなにも変えるものなのだと思いました。
男の子との練習では、前述したように最初はラケットでの球出し練習を試みました。しかし、普通にラケットでボールを出すと、ボールは彼の胸から肩くらいまでボールが弾んでしまい、まだラケットを片手で持ち出したばかりの彼にはどうにも打ちにくそうでした。
一旦、球出しをやめて、狙いの説明をしようとした時に、彼の目線にあわせてコートを見たときに初めて気づきました。
「ネットは高い」
「コートが広い」
ということに。
と考えれば、ラケットをもっている様子がふらふらしてしまうのは当然です。彼が持っていたのは大人用のラケットで、
彼にとってはやや大きすぎるのだと理解できました。
その後は膝をついての手出しの練習に切り替え、
狙いはまず、ネットを越える高い球を打つつもりで、
しっかり足を出して打つようにと支持を出して、
10球程度で一回休み、そうしたら、また10球で一回休み
を5セットそれが終わったら、自分の打ったボールを拾い、拾っている間に女の子の方をみるというような形で行いました。
10球打ったら、もう軽くふらふらしていましたが、
顔は実に楽しそうです。
いつもよりたくさんボールを打てるのが
もう楽しくて、楽しくて
しょうがないといった様子でした。
ミスした手出しのボールにも、
ラケットをがりがり地面にこすりながら、
必死に喰らい着いて行きます。
その姿を見ていると、
テニスを楽しむ原点はここなんだな、
テニスはボールを打つことが楽しいんだ。
と思わずにはいられませんでした。
その後の連絡でこの子は6年生の時になんと全小に出場したそうです。
テニスの上達には楽しむ心とひたむきさがもっとも重要なのかもしれません。
結局、最後まで私自身に指導者としての力が不足していたため、
きっちりとコーチらしいことはできなかったのですが、
私が大学を卒業して、町を出る前に、
名刺入れとネクタイを彼らからもらいました。
(親御さんの配慮だと思います)
これらは今も大事に使っています。
そして、私の宝物です。
つたない練習の思い出とともに。
やっぱりかなりの長文です。
つたない文章ですがよろしくおねがいします。
そうして、中学生から高校生となる間に、
彼はどんどん成長していったわけです。
私が学生時代を過ごした町には、
市民団体で「スポーツ少年団」という団体があって、
彼がテニスを始めた場所はその「スポーツ少年団」でした。
スポーツ少年団は
市民主導で市内の小中学生にスポーツの楽しさを広めることを目的とした団体です。
しかし、そのスポーツ少年団では3~4人程度の指導員
(と言っても職業コーチではなく保護者)に対して、
約50人ほどの子供たちが球出し形式で練習するものでした。
一般の保護者さんが自分の時間を割いて子供たちにスポーツを広めようとする精神は
大変すばらしいことに間違いありませんが、
子供の数が多すぎて、練習ではただ球出しのボールを順番に打つだけで、個別の指導をする余裕はなく、子供たちが十分にテニスができる環境とは思えませんでした。
もう一つのレッスンは、
かの家族から紹介された、
この少年団出身の
別の中学1年生の女の子2人と
小学校3年生の男の子1人との練習でした。
親御さんからの要望は
「とにかく、ボールをたくさん打たせてあげて欲しい、
そしてできれば、あの彼のように試合で勝てるようにもして欲しい」ということでした。
プレイレベルは、
女の子2人は、
簡単な球出しはフォア、バックともに無難にこなせるが、
2人でつなぐラリーをすると、5往復続くか、続かないかというレベル。
目標は、高校生相手の試合での一勝。
男の子の方は、
最近、フォアを片手で打つようになったばかりで、
ラケットで球出しをすると、ボールが高すぎて上手く裁けない感じでした。
目標は「全小出場」。
まず、最初に困ったのは
どの程度、この子達を運動させて良いかという点です。
女子中学生になったこともなければ、
小学生の時に、テニスをしたこともありません。
最初の彼の時は、
初期は多少の加減があったものの、基本的に自分が行っていた練習と同じものをしていました。
それに完全に彼がついてきてくれたため、全く問題ありませんでした。
とりあえず、加減しながら、様子をみて進めることにしました。
まず、女の子の方は2人でラリー20往復、
男の子の方は、しっかりラケットを振って、狙いを定めて打つことを目標にしました。
彼女らは、私とゆっくりと作ったラリーならば、最初から20往復くらいはラリーができましたが、
2人で打った時には、一本乱れたボールが混じると、そこから崩れてしまうことが原因で、
ラリーが続かないことがわかってきたので、
ボールが乱れたときにボールを拾うフットワークを作る、
乱れないように、同じボールを繰り返し打つ
を目標に練習をしました。
これらは、基礎的なもののため、
繰り返しの練習が不可欠です。
さらにどうも女の子というのは、
一週間運動をしないと、素の状態に戻る、
運動していない女の子と同等のレベルまで運動レベルが戻ってしまう
ようで、次の週を迎える時にはまた一からなんていうのが、当たり前のことのように続いてしまいました。
それで、毎日500回で良いから、縄跳びをするように勧めたところ、すこしづつ上達するようになりました。
そんな練習を続けていたある日、今月末に試合があるから、
そのための練習をして欲しいとのお願いがありました。
一応、試合形式の練習を混ぜましたが、どうにもこれで大丈夫というレベルにはならぬまま、試合になってしまいました。
単純に心配なのと、彼女らがどのような試合をするのか、気になって試合を見に行きましたが、
ただ返すだけの相手にミスの連続になってしまっていて、
やっぱり攻める練習もはじめないとなりません。
しかし、ようやく移動範囲2歩以内でのラリーができるようになったレベルです。
アプローチをきっちり打ってポイントを取るレベルまでは
かなり道のりが遠く、
実際、私との練習ではそのレベルまでは到達することはできませんでした。
その後も、週一回の練習は続けましたが、結局最後には、
どっちかが高校生との試合で一回戦くらいは何とか勝ってくるようにはなりました。しかし、あまり効率的な練習ができたとは思えませんでした。
唯一、はっきり上手くなったと思えたのはサーブです。
片方の子は優しいボールに対しては、
スマッシュは打てるのに、
サーブではトスしたボールをオーバーハンドで上になでるような羽子板サーブを打っていました。
当時、既に身長が160cm以上あったのですが、
どうも羽子板サーブの原因は、
小学校3年生くらいからテニスをはじめ、
「ネットは高い」という思い込みが、上から打ち下ろすサーブを打つことを妨げていたようで、
スライスサーブのりんごの皮むきのイメージを伝えた後に、
ネットを確実に見下ろせるサービスライン付近から、スマッシュと同じ要領で打ち下ろしで打ち、5本連続で入ったら、一歩下がるという練習を始めたところ、たった2週間(サーブの練習時間にしたら1時間程度)でベースラインからきっちりスライスサーブが打てるようになりました。
また、彼女たちが2年生になってしばらくしたころに、改めて(こっそり)「スポーツ少年団」の練習を見に行ったときのことです。
そのころ、3年生が受験勉強のためいなくなったこともあり、スポーツ少年団では彼女らが最上級生です。私との練習では、頼りない部分を見せたり、子供のようにはしゃいでいた彼女らが、もっと小さい子供たちを引っ張って、ランニングの先頭を走っていました。
その走る姿がいつもの二人とは異なりなんだか頼もしく見えました。そうしたリーダーとしての自覚は人をこんなにも変えるものなのだと思いました。
男の子との練習では、前述したように最初はラケットでの球出し練習を試みました。しかし、普通にラケットでボールを出すと、ボールは彼の胸から肩くらいまでボールが弾んでしまい、まだラケットを片手で持ち出したばかりの彼にはどうにも打ちにくそうでした。
一旦、球出しをやめて、狙いの説明をしようとした時に、彼の目線にあわせてコートを見たときに初めて気づきました。
「ネットは高い」
「コートが広い」
ということに。
と考えれば、ラケットをもっている様子がふらふらしてしまうのは当然です。彼が持っていたのは大人用のラケットで、
彼にとってはやや大きすぎるのだと理解できました。
その後は膝をついての手出しの練習に切り替え、
狙いはまず、ネットを越える高い球を打つつもりで、
しっかり足を出して打つようにと支持を出して、
10球程度で一回休み、そうしたら、また10球で一回休み
を5セットそれが終わったら、自分の打ったボールを拾い、拾っている間に女の子の方をみるというような形で行いました。
10球打ったら、もう軽くふらふらしていましたが、
顔は実に楽しそうです。
いつもよりたくさんボールを打てるのが
もう楽しくて、楽しくて
しょうがないといった様子でした。
ミスした手出しのボールにも、
ラケットをがりがり地面にこすりながら、
必死に喰らい着いて行きます。
その姿を見ていると、
テニスを楽しむ原点はここなんだな、
テニスはボールを打つことが楽しいんだ。
と思わずにはいられませんでした。
その後の連絡でこの子は6年生の時になんと全小に出場したそうです。
テニスの上達には楽しむ心とひたむきさがもっとも重要なのかもしれません。
結局、最後まで私自身に指導者としての力が不足していたため、
きっちりとコーチらしいことはできなかったのですが、
私が大学を卒業して、町を出る前に、
名刺入れとネクタイを彼らからもらいました。
(親御さんの配慮だと思います)
これらは今も大事に使っています。
そして、私の宝物です。
つたない練習の思い出とともに。
>>運動していない女の子と同等のレベルまで運動レベルが戻ってしまう…
それで、毎日500回で良いから、縄跳びをするように勧めたところ…
これは、我々にもいえることですよね。500回縄跳びは、無理かもしれませんが、トライしてみます。
子供の目線に立つことを含めて、私は彼らとの練習から多くのことを学びました。
毎日、せんせいの記事は拝見していますが、
同様にせんせいの記事からもいろいろと考えるべき点をもらっています。
今後も楽しみにしています。
確かにコーチに教えてもらうことによって、潜在能力が引き出されることはあると思います。
しかし、それよりもその子自身が、上手くなりたい、強くなりたいという強い望みが必須だと思います。望みがなければ、コーチの言葉も、苦しい練習も受け付けないからです。
望みはあるが、その術を知らない場合には、指導者の力量が重要なポイントとなります。
クラブに通わせるならば、そのレッスンの様子を時々見て、指導者とレッスンを確認するとより良いと思います。