最近、仕事場の隣の人がげっそりと痩せていた。
顔色も良くない。

聞けば、最近まともに食事を取ってないらしい。
オマケに、そんな体調なのに、
かえって、頭が冴えてイイと言う。

多分、精神が肉体を凌駕している状態なのだと思う。

その人は、
とても几帳面で、かつ真面目な人ではあるが、
時として、自身のレベルに達していないものに対して、
酷くつらくあたることもある。
ある意味では、自分の中に溜まったストレスを
落ち度のあった周りの人にぶつけているようにも見える。

そのためか、あまり周りに彼のことを慕う人はいないようにも見える。
でも、彼の部下は、彼の下に付いてちゃんと仕事をしていた。
長く、近くで接していれば、
彼はとても熱心で、真面目で、律儀な男なのだとわかる。
でも、そうでない人は、
そうは見ない。

それは、時折発せられる彼の鋭い棘のような言葉が原因なのだ。

彼は以前、４人ほどの部下とともに仕事をしていた。
でも、この春に人事異動があり、彼は一人で仕事をするようになった。

そして、げっそりと痩せた。
その痩せ方は明らかに健康そうには見えない。

どうして、そうなってしまったのか？

最近、仕事量は全体的に増える傾向にある。
しかし、一部の人にはその増えた仕事が振り分けられることはない。
あてにならないからだ。
それで、当てになる彼にその分のしわ寄せが来る。
彼はそれを精一杯こなそうと努力をする。
苦しい、でも、できなければ、もっと辛い。
だから、頑張る。
その苦しさが時として、彼自身も望まない方向へと吐き出される。

彼に程近い人はそれを理解し、ある程度受け止める。
しかし、そうでない人は無益な責めをしていると、感じる。

確かに無益な責めと思われる時は多い。

それで、彼から少し離れた立場にある人が、見かねて、
部下を彼から離し、
彼は一人になって痩せた。げっそりと。


私の大学時代の同級生に、彼に感じの似た男がいた。
真面目だが、時に人を小ばかにすることが好きな男だった。

そいつは、ある挫折が原因で、自殺した。
周りの人間を傷つけすぎたために、
そいつは相談する窓口を失っていたのだと思う。
少しでも話のできる人が周りにいれば、
その話が解決の方向には向かわなくても、
それはそれで、
そいつは死なずに済んだのかも知れない。

だから、明日、余裕があれば、隣の部屋に行ってみよう。
「何サボってんだ！！」って怒られるかも知れないけど。


心が折れそうになったとき、
心が折れてしまったとき、
あなたには話のできる人、話を聞いてくれる人はいますか？